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改 四号請求訴訟のブログ

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監査請求とはこんなもの


 住民監査請求にどんな対応がされるのか、漠然としていてすぐにはイメージが分からないと思います。


 そもそも、監査というのは自治体で行われるものはとても甘いものです。

 監査請求に対する判断、これを「監査措置」と言いますが、これも理屈の立っていないままのことが多く、裁判所のような体裁をしていながらまるで法律に立脚もしていません。


 民間の監査でしたら、監査に疑義などあればそれこそ会社が傾くぐらい厳しいものがありますが、自治体での監査と言うのは慣れあいと事なかれ主義に染まり、ほとんど機能していません。

 例えば、ごく手続きの問題で監査に当たって、「当事者が監査人になっていて、利害関係者が監査人になっているから除斥せよ」と主張しても、これを認めることはなかなかありません。
 これだけでも問題です。

 私が行った国分寺市の住民監査でも、当時議員だった人が副監査役でしたから、不適当なのではないかと指摘してもなしのつぶて、問題ないとの回答でした。
 この主任監査役というのは弁護士なのです。


 こういう監査が甘いということは、自治体の「コンプライアンス」にとっては致命的とも言えるほどのものです。



 他の具体例をお見せします。

 以下は世田谷区が東京都に対して監査請求を行った時の書類です。


 この統一地方選の時期で、とても注目すべき内容ですのであえてご紹介しようと思います。


 内容というのは、選挙のポスターに対して候補者は公的助成が得られるのですが、これに対して、助成が本来は得られないハガキ印刷代など他の印刷も込みにさせ、印刷屋と結託して過大に請求している議員がいると新聞報道されたことが発端になります。
 いわば水増しして請求していた疑惑があるわけです。

 そこで世田谷区が調べると、名前の挙がった議員だけでなく、多数の議員がこの不正に関与している疑いがありました。

 世田谷区はこれを東京都に監査請求します。
 「この返還請求を都議選ですので東京都がやりなさい」という請求でした。
 住民でなく区がやるという以外には違いはありません。



 以下のPDF書類には監査請求の中身と、それに対する監査役の回答が載っています。
 
 これは住民監査請求そのものではありませんが、世田谷区が東京都に求めた監査であり、住民監査請求と性質は同じです。

 裁判の判決文のような体裁にして、まず監査請求があったその中身を掲載し、続いて監査役からの回答を掲載し、「監査措置をする」、つまり監査結果を下すという体裁になっています。


東京都監査委員へ

http://www.kansa.metro.tokyo.jp/PDF/08jumin/19jumin/19jumin04.pdf


 これを読んでいただければわかると思いますが、監査結果、その監査役の判断というものは極めて一方的で、理屈も納得のできないまるでおかしなものです。

 「疑わしい」という理屈と論証まで世田谷区がしているのに、「議員に聞いてみたが違うと言っている」とそのまま議員の言い分を正しいことにしています。
 単なる証言に過ぎない言い訳にすぎないものを根拠もなく証拠として採用しています。

 疑わしいという理由はない、という判定も、論理的なものですらありません。


 まるで腰が引けていて、これでは「監査役などいないも同然ではないか」というのが誰しもの感想ではないでしょうか。


 残念ながら、自治体のコンプライアンスはまだ未成熟と言わざるを得ません。


 こういう監査役になった弁護士が、波風を立てないようにして、いつまでも毎年同じように選ばれようとするというのも問題の原因でもあると思います。


 
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