「怠る事実」を訴えたことで、監査請求は棄却されても請求したという前置条件は成立しました。
住民訴訟を起こすための条件はクリアされました。
監査請求を棄却することは司法による判決ではありません。
ただ市の監査役が棄却と言う判断を出しただけということになります。
だから、私はこれを不服として住民訴訟を起こし、裁判所でなぜ市は前市長に損害賠償させられた金を弁済するよう請求しなければならないのか、これを立証して争うことになったわけです。
このところは少し難しい点なのか、市の弁護士は「市の監査請求で棄却しているから住民訴訟は無効だ」みたいな主張をしていました。
これ自体はとても法律の専門家とは言えない主張ですけれども、どうして住民訴訟する前にわざわざ監査請求する必要があるのか、監査請求が住民訴訟の前置条件となっているのかひとつのヒントを与えてくれます。
つまり、「住民訴訟は市と住民が互いに反対の立場をとって真実を明らかにすること」だからです。
ゴングを鳴らす代わりに、監査請求を棄却して、これで住民と市側は反対の立場を取りますよと、法的にはそう考えることもできるのです。
もちろん、たいていの監査役は「事なかれ主義」というだけで、そんなことを考えてはいないと思いますけれども。
この法理的な解釈が正しいことは、住民訴訟の裁判になって監査請求の結果やその審議の過程などまるで問題にならなかったことでも明らかです。
「監査とは何か」以上に述べた簡単な解釈は、これに一定の理屈がつけられるものだと思います。