忍者ブログ

改 四号請求訴訟のブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

判決トピック 被告弁護士の最判引用のこと(詳細)


 被告側弁護士は最高裁判例を引き合いに出し、「これまで星野前市長に請求して来なかったことは証拠を入手できなかったからであり、そのような証拠は見当らないのだから前市長に請求しないことは正当なことである」との主張をしました。

 これに対し、原告が被告の主張に対して指摘した部分を抜き出しました。
 (《註》としたところです。)
 これは訴訟での準備書面からそのまま引用しています。
 分かりやすくなるよう改行だけを加えています。



>(略)・・・少なくとも客観的に見て当該債権の成立を認定するに足りる証拠資料を入手し、又は入手し得たことを要する、と解されている。
 
《註》 原告は、星野が議会に働きかけて本件条例を可決成立させ、図書館設置ができるようにして図書館の設置を実態的に行い、係る風営法の法規制を利用して本件パチンコ店の出店の阻止をした「実行の主体」であることを示してきた。これにより補助参加人星野への求償権の存在は客観的に見ても明らかである。
 星野に「国分寺駅北口再開発事業が頓挫する危機感があった」などという主張は、前市長星野の言い逃れでしかなく、その危機感があったことを裏付ける当時の影響評価調査の存否、星野の東奔西走の活動や交渉、事業者らと直接折衝したという事実はどこにもないのだから、そのような主張は成立しない。(甲46号)
 このような、事実として「ない」ものを被告が「ある」と判断していたことは誤りであり、市は客観的に当該債権の成立を否定させる証拠資料を入手できていなかったのだから前市長星野へ求償を即座にすべきだった。これは本訴の主張においても同じ趣旨である。
 
 前市長星野の違法行為は、XXXXの出店を阻止しXXXXの不動産賃貸事業を妨害したという結果についてであり、市はこの損害賠償を星野に代位して支払った。これほどの明白な故意または重大な過失に求償がされなくては、地方行政が成り立つものではない。
 本訴において原告は充分な証拠に基づいて主張と事実を明らかにしているのだから、この立証をもって被告国分寺市は、当該債権の成立を認めるための充分な証拠を入手したとすべきなのである。
 
 なお、被告が引用した当該最高裁判断(H21.4.28)は以下のものである。(平成20(行ヒ)97)
当該判決は、 
 「>(略)・・・不法行為に基づく損害賠償請求権の不行使を正当とするような事情が存在することについて首肯すべき説示をすることなく、同請求権の不行使が違法な怠る事実に当らないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。」としている。
 
 つまり、「充分な証拠がないからゴミ施設事業者に談合損害の賠償請求はしない」などとした尼崎市長に対し、その証拠は市が容易に入手することが可能であり、またもし市がゴミ施設事業者への求償権を否定するというならその求償権を否定する証拠を示すべき義務は被告尼崎市側にあるとして差戻した判決と解される。




 原告の指摘は以上でした。

 ここで、被告が引用していた最高裁判例は、「談合事件」という、より難しく複雑な事件についてではありましたが、誰に立証責任があるかを示したものとして注目できるものがありました。

 だから、この最判を引いた被告側弁護士の主張を見て、私は、とにかく原告住民の訴えをしりぞけたいあまりに、逆に被告弁護士としてはヤブヘビの引用をしてしまったのではないかと思えたものです。



 ここはまさに、戦いで相手が失点をした瞬間、オウンゴールを見た瞬間だったように思います。
 きっと職業としての弁護士であるなら、ここを「面白い」と感じたことだろうと私は思っています。彼らにとっては訴訟は勝つか負けるかのゲームなのですから。


PR

PAGE TOP