誤解があると困るので細かいことですが説明をしたいと思います。
それは、よく言われる「それは訴えることはできません」という言い方についてです。
訴えることは誰でもできますし、書式が整っていればどんなことでも受理はしてもらえ、裁判にすることができます。
「誣告罪」という訴訟乱発を戒めるものはありますが。
弁護士や法律関係者の「訴えられない」という言い方は、正確にはやっても無駄、つまり「訴訟は成立しない」として裁判所から棄却されてしまったり、「やっても勝ち目はない」という意味に過ぎません。
だから、今回の最高裁の判例を承知していながら、わざわざ負けるのは承知の上で浮気相手を相手取って裁判を起こしたりしても、極端な話、よほどのことがなければ裁判は開かれます。
そういう手段で相手をこらしめようとする裁判は少なからずあります。
訴えられた浮気相手は被告になります。
「被告」というのは別に悪い意味ではありません。
民事の「被告」と刑事事件で言う「被告人」は違います。
民事では訴えられた側を被告と呼んでいるだけです。
そして、もし相手方が答弁しないと、そのまま原告の主張が通ってしまいます。
改めて繰り返します。
浮気相手に離婚の慰謝料を請求することはできます。
離婚に際し、その浮気相手も慰謝料を負担すべきと考えるなら、離婚の相手方に対して慰謝料を請求し、浮気相手の負担分を求償するよう求めることになります。
「直接は訴えられない」、「訴えてもよほどのことがない限り負けてしまう」というだけなのです。
今回の判例では浮気した妻には慰謝料を請求せず、直接浮気相手だけに請求したようです。
その請求が「誤りである」と判示されたことになります。