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改 四号請求訴訟のブログ

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四号請求は難しい


 「住民訴訟の四号請求は難しい」というのはよく言われることです。
 確かに当事者と相手方、補助参加人と、深く考えると難しいところがあります。
 普通のプロの弁護士でもなかなか正確に理解している人は少ないです。


 「間接的な訴えというだけだろ、別に難しくはないじゃないか」
 そう思われるでしょうが、そこが実は落とし穴だったりします。
 離婚での浮気相手とは、住民訴訟での原告と被告の関係は立場から違っています。


 議論になりそうな点を列挙してみましょう。


 1. 住民は市の利益のために提訴した。市はこれになぜ反論するのか。

 2. どうせ負けても市は改めて市長と争うのだから前段階の住民訴訟は無駄ではないか。

 3.市長は市の代表者だ、その市長が個人的に訴えられても市長の立場を公私混同させて逃れようとするならその歯止めはどこにあるのか。
 
 4. なぜそれまで市は市の財産保全のために市長にすぐに請求や提訴をしなかったのか。

 5. 市側は住民の訴えにディベートのように反論するという。それは真実を明らかにするためだという。しかし、市側が自力で調査なりすれば簡単にわかることをわざわざ住民と争う意味があるか。

 6. 自治体としての市は、市民ものである市の財産管理の責任がある。となれば、住民が「請求しろ」と言っているものに対して、どこまで抗弁すべきなのか。

 7. 住民側からの訴えに反論しても、負ければ今度はその住民の訴え通りに市は市長に請求して払わなければ争いになります。このような手の平返しに矛盾はないのか。


 以上、ざっと挙げてみました。

 これらの考えられる議論を考えても、どれもそうそう答えを出すのは難しいと思います。


 つまり、

「市側と住民が協力してディベートゲームをし、真実を明らかにする」

 この原理を理解していないとつい混乱してしまうのが四号請求なのです。


 もちろん、それでも、ディベートのように住民の主張に対して「あまのじゃく」的に反論することの歯止め、どこまでやったらいいのか「程度の問題」が定められているわけではありません。

 そのため、つい市側の抗弁は住民主権さえ忘れがちになります。


 そこがこの訴訟に関して当事者が持つ責任というものなのですが、自治体から委任された代理人である弁護士がどこまでそのような節度を保つことができるか、難しいものがあります。

 だからこそ、ここを本来なら議員なり議会なり市長なりが関わって、暴走しないようにしてゆかねばならないのですが、「法律のことは専門家の弁護士に任せているから」などと関わろうとしない事例は多いです。

 そのためにおかしなことになるのです。



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