国家賠償法第1条
第1条
国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
この法律は、たとえ公務員や行政の首長であっても、故意又は重大な過失があったたときは、所属する国又は公共団体から求償権を行使され、賠償させられるということです。
公務員とも言えどアンタッチャブルではありません。
基本的に「しくじったら返せ」という原則はあるのです。
ただし現実問題として、これは公務員というよりも首長に強くこれが適用されるのが普通です。
公務員個人の場合には、よっぽどのことがない限りは、故意又は重大な過失とはできません。
なにしろこの公務員は単独で動いているわけではなく、監督者がいて決済がされ、最終的には首長が責任をもって採決するものだからです。
これは公務員単独で行なう過ちというものはほとんどないシステムに地方自治はできているからで、よほどの犯罪的なことならともかく、通常の業務や窓口的な意思決定で公務員がその過失の責任を個人的に問われることはあり得ません。
ならばむしろその過失の可能性を予見できなかった首長に責任があると言えるでしょう。
しかし首長の場合、決裁者であり直接の執行者です。
そして行政の最終的な責任者でもあります。
その権限は大きく、ある種の独裁ともいえるほどの権限が付与され、議会のチェックがあるといえ執行にすら単独の判断で行なう余地が多くあります。
そのことで最も特徴的なことを言えば、「専決処分」がそれに当たると言っていいと思います。
ともかく、したがってその権力の大きさゆえに、何か行政に違法行為があった場合はその責任を首長が問われ、最終的に主張の個人的な責任として賠償責任が発生するのは当然のことなのです。
「故意又は重大な過失」があった場合、首長は個人的にその責任を問われる。
そしてその責任を議会、なかんずく市民は問うことができる。
そう肝に銘じていていただきたいと思います。
なにしろ、それだけの大きな権力を持っているのが地方自治における首長なのです。