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改 四号請求訴訟のブログ

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補助参加人とは


 四号請求で「市長に請求しろ」という訴えをしているので、市長は直接訴えられているわけではありません。

 ただ、いずれにしても訴訟は市長に対する請求を巡ってのものです。

 誰がどこに対して訴えるのが適切かという、「法的適格性」のことがあるので、市民が直接市長を訴えるわけにはゆかないというだけです。


 このため、住民訴訟は市長の違法性を争うことになり、内容としては直接に市長を訴えたと同じような主張をすることになります。

 ここで
「市長に故意又は重大な過失があるかどうか」

   が立証されねばなりません。



 一方、市長としてはこの裁判をただ無関係として放置するわけにはいかないでしょう。


 そういうわけで市の代理人弁護士から市長に対して「訴訟告知」が行なわれ、「あなたに関係した訴訟が提起されている」と通告されます。

 市長はこの住民訴訟に関係がある人物として参加することができます。
 これを補助的な参加、補助参加人と言います。


 自分が直接訴えられているわけではありませんが、内容は自分のことなので主張すべき点があれば市長は割って入って主張する権利が認められています。


 するとこの場合、市長は個人としてこの訴訟に参加する異なります。

 通常は弁護士を個人的につけて主張を展開します。あくまで個人として「自分に請求させることはできない」などと主張するわけです。


 もしこれをしないで、市から委任された弁護士が市長の主張まで代弁してしまうとなると、これは公私混同です。
 市を市長が私物化していると言われても仕方ないでしょう。


 なぜなら「市に弁済しろ」と言われているのは個人としての市長なのです。


 客観的に見て、市長が個人的責任を負わねばならないのかどうか、その真実を追究する裁判なのですから。



 公私混同と私物化。

 弁護士費用を市長が個人的に払いたくないからなのか、そういう例は少なからずあります。

 権力が自分の過ちを認めず、訴えられてもその権限を自分のために使う。こういうことは起きています。
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被告となる市の立場


 こうして、市を相手にして住民訴訟を提起することになります。
 裁判は相手方が応じて争わねばなりません。
 主張をしなければ原告の言い分がどんなに勝手なものでも通ってしまいます。


 では住民訴訟の場合はどうでしょうか。
 市側も同じように主張をしなければなりません。


 住民訴訟を起こされると、よほどの政治的判断があった場合は別として、市は自動的に被告として原告と反対の立場を取ります。
 これは「原則」としては「何が正しいか判断するための反論」になります。

 住民は市政のために訴訟を提起し、それに応じる自治体もまた市政のために反論しなければなりません。
 市が「市長を守るため」などと、ひたすら市民の訴えに反論したり、やみくもに原告に反論すればよいというものではありません。


 しかし、このあたりは現実にも誤解されているケースが多いように思います。



 行政という実務のことを考えてください。

 いちいち住民訴訟を起こされたり求められるままに、「わかりました」といちいち裁判や請求を起こしていたらどうでしょう。
 負けたり勝ったり、それが本当に必要なことなのか判然としないまま争いをすることになってしまいます。
 こうしたことは政治的に濫用される可能性もあります。

 本当にその請求が妥当であるか法的にも確かめねばなりません。


 だから、住民訴訟の趣旨が法に照らして正しいかどうか、裁判所で判示してもらおう、そのために原告の主張に反論してみて、それでも原告の訴えが正しいとされたら市長に請求を行なうということになります。


 住民と自治体は何かの利害を巡って対立しているわけではありません。


 住民は市長によって毀損された自治体の財産を取り戻そうと代弁しているのです。

 この意味で、市側と住民側の互いが協力して法廷で被告と原告の立場に立ち、立証と反論によって真実を明らかにしてゆこうというのが住民訴訟の原則なのです。


 そのために、ある種のディベートのようなことにはなります。
 住民訴訟に対しては市は反対の立場を取り、これこれこうだから市長にそこまでの請求はできないのではないか、などと反論することになるのです。


 これが政治的に偏ってもいず、自治体がきちんと機能している場合です。


 ただ、どうしても政治家の保身やことなかれ主義や委任した市側の弁護人の勘違いから、とにかく「生意気な住人の訴えはなんとしても否定しなければならない」などと詭弁的な反論が弁護士によって行なわれてしまうようです。

 「勝ち負けのゲーム」をしているだけの弁護士としてみればごく普通のことなのですが、訴えた住民からすれば、まるで腐敗した市が住民の意見を圧殺しているように見える、市長の過ちを誤魔化そうとしているように見えることがあります。



 それは誤りです。

今回の離婚慰謝料裁判とは


 本日の判決は前から注目されていたようです。もとの記事がありました。


不倫相手に請求できる? 離婚慰謝料訴訟 19日に最高裁判決

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190218-00000001-mai-soci


 注目されていた点は

 「夫は不倫相手に対して慰謝料を請求できるか?」というものです。

 少しわかりにくいかも知れません。



 応えは「できる」です。


 ただし、本日の最高裁判決で出たように、「直接請求はできない」ということです。


 不倫していたのはこの記事ですと妻です。

 夫は妻に慰謝料を請求し、妻に対して「不倫相手に対しても請求しろ」という訴えを起こさねばならないということなのです。


 妻を飛び越して「直接請求する」というのはできないということです。



離婚事件と四号請求


 最新のニュースです。誤解がありそうなので注意してください。


 配偶者の不倫が原因で離婚した場合、不倫相手に離婚に対する慰謝料を請求できるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(宮崎裕子裁判長)は19日、「特段の事情がない限り、請求できない」との初判断を示し、原告側の請求を棄却した。 
[時事通信社]




 上の記事は誤解されそうですが、不倫相手が訴えられないという意味ではありません。

 「四号請求」というのがあって、こんな風によく不倫で出てくる訴訟の形です。



 妻が夫に浮気をされて、離婚や慰謝料で争っています。

 夫は妻に慰謝料を支払うことで和解します。

 しかし妻は浮気相手の支払いがないことに納得できません。

 

 それで妻は夫に対して「浮気相手にも慰謝料を負担するよう請求しなさい」と訴えます。

 これが四号請求です。

 上の最高裁のように、直接に妻が浮気相手に対して慰謝料を訴えることは出来ません。

 当事者は妻と夫、そして夫と浮気相手です。


 で、妻は夫に対して訴訟を起こします。

 「夫は浮気相手に対して浮気の代償の一部を支払うよう請求せよ」という訴訟です。


 四号請求訴訟は成立します。

 妻から直接に訴えることはできないということです。

 これを「三角訴訟」と言ったりもするようです。

 

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