忍者ブログ

改 四号請求訴訟のブログ

Home > ブログ > 記事一覧

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

裁判を無視したらどうなるか


 さて、もし、訴えを起こされたことを無視していたらどうなるでしょうか。
 自分の主張を書面ですら出さず、返事をしなかったらどうなるでしょう。

 浮気相手が腹いせに直接の訴えを起こされ、こんなものは無効だと無視してしまったらどうでしょうか。


 この時、裁判所は、わざわざ相手方が出席もせず書面すら出してこないのに、親切に

「最高裁の判例にあるように、求償権がある関係に過ぎないのだから浮気相手には慰謝料は直接請求できません」

 などと、その訴えを棄却したりはしてくれません。
 裁判所は市役所の窓口のようなことはしないので、裁判所が「指導」をしたりはしてくれません。
 だから、例えばまた、裁判所が原告が求めた損害賠償請求200万円に対し、
 「事実はわかった。金額は少なすぎるから5千万円にすべきだ。」

 などどという判決は決して書きません。
 訴えを起こした原告が求めた200万円が基準になり、裁判所はそれを減額することしかしません。
 訴えている当事者の内容を判決が越えるようなことはしないのです。
 浮気相手を直接相手にした訴訟を起こした場合、訴えられてもその浮気相手が無視したままだと、裁判所は原告の主張をある程度認めた判決を出さざるを得ません。

 そうなると、「浮気相手に直接請求は出来ない」という最高裁の判例があるのに、どういう趣旨の判決になるのでしょう。
 これは意味としてはこうなると思います。

「求償権があるのは本来は夫婦の浮気をした側へだが、当の浮気相手は答弁をしてこない。これはある程度の反省と謝罪を示していると考えられ、これこれの金額ぐらいは支払いせよと判決する。」

 なんてことになるはずです。
 訴えた慰謝料の金額は大幅に減額はされるでしょうが、形としては浮気相手が負けたことになります。
 もちろん、もしちゃんとその浮気相手が相手方として主張をすれば、先の最高裁判例によって棄却されます。
 日本は法治国家ですから、いくら面倒だと考えたり言いがかりだと思っても、主張もせず応訴しないことには相手方の言い分が通り負けてしまいます。
 それは裁判所に対して自分の主張を述べることを放棄、つまり相手方の言い分を認めることになるからです。
 

PR

法的適格性ということ


 住民訴訟にも同じことがあります。

 これは離婚と浮気相手という第三者をめぐる裁判と同じです。


 市長が行なった違法行為によって自治体である市が損害を被った場合、我々住民はこれを訴えることができます。
 私たちの税金です。

 しかし、市長に対して住民が直接訴えることはできません。


 もしできるとしたら、どういう立場から住民は市長を訴えることになるでしょうか。
 市民を代表して?
 ひとりの市民として?

 訴えの当事者として適当でしょうか。

 市長に訴える法的な適格性があるでしょうか。

 
 どう考えても自治体の市民全員を代表した総意になることはできませんし、勝訴したその市長から賠償されたお金は誰に帰属するのでしょう?

 もちろん、元は自治体のお金です。
 住民一人のものではありません。税金によって集められたものですから全員で分配すればいいということでもありません。

 自治体にお金を返せということになります。

 であれば、市長を直接訴えることにはいささか無理があるということになりました。

 私たちは市民として、自治体の住人として当事者として市を相手に訴えることになります。




 よって、離婚と浮気相手への求償訴訟と同じことになります。

 市に対して、「市長の行なった違法行為について賠償するよう請求せよ」という訴えを起こすことになります。
 市に対して、「市長にこれこれの金額を弁済するよう請求せよ」という訴えです。

訴訟と裁判

 誤解があると困るので細かいことですが説明をしたいと思います。
 それは、よく言われる「それは訴えることはできません」という言い方についてです。

 訴えることは誰でもできますし、書式が整っていればどんなことでも受理はしてもらえ、裁判にすることができます。
 「誣告罪」という訴訟乱発を戒めるものはありますが。


 弁護士や法律関係者の「訴えられない」という言い方は、正確にはやっても無駄、つまり「訴訟は成立しない」として裁判所から棄却されてしまったり、「やっても勝ち目はない」という意味に過ぎません。
 だから、今回の最高裁の判例を承知していながら、わざわざ負けるのは承知の上で浮気相手を相手取って裁判を起こしたりしても、極端な話、よほどのことがなければ裁判は開かれます。
 そういう手段で相手をこらしめようとする裁判は少なからずあります。

 訴えられた浮気相手は被告になります。
 「被告」というのは別に悪い意味ではありません。
 民事の「被告」と刑事事件で言う「被告人」は違います。
 民事では訴えられた側を被告と呼んでいるだけです。
 そして、もし相手方が答弁しないと、そのまま原告の主張が通ってしまいます。


 改めて繰り返します。
 浮気相手に離婚の慰謝料を請求することはできます。
 離婚に際し、その浮気相手も慰謝料を負担すべきと考えるなら、離婚の相手方に対して慰謝料を請求し、浮気相手の負担分を求償するよう求めることになります。


 「直接は訴えられない」、「訴えてもよほどのことがない限り負けてしまう」というだけなのです。

 今回の判例では浮気した妻には慰謝料を請求せず、直接浮気相手だけに請求したようです。

 その請求が「誤りである」と判示されたことになります。


離婚、そして不倫相手への請求


 判決やニュース、この最高裁判決の記事を色々と読んでいただいても、すぐにはわかりにくいかも知れません。

 繰り返すようですが、

「不倫相手に慰謝料は請求できる」のです。
 ただ方法が限定されます。



 まず夫婦間の出来事、紛争が離婚です。
 調停や訴訟、和解や判決によって慰謝料や賠償を争います。


 この原因となったことが不倫、つまり浮気にあった場合、確かに第三者である浮気相手は原因の一部を作ったのかも知れませんが、慰謝料を求める側からすれば第三者には変わりはありません。

 見も知らずの人ということもありえるでしょう。

 そうすると、いくら浮気の当事者といっても、その第三者に対していきなり訴えを起こすことはできないでしょう。

 法的資格に欠けていると言うしかないのです。

 いや、誰でも誰を訴えるということはできますが、原告として適当ではない、「適格性に欠ける」ということになってしまいます。
 棄却されても訴えるだけはできないではありませんが、それはまた別の話。

 
 「あなたはその浮気相手をよく知っているのだから、あなたは自分が請求された分の一部を請求しなさい、今回の離婚はあなたとあなたの浮気相手の問題なのだ」となります。

 それを訴えるのは夫婦間で行ないます。



 このことを「求償権がある」といいます。

 
 共同して浮気をし、結婚相手に被害を与え、離婚となった。

 離婚の当事者は慰謝料を払うが、その一部を浮気相手に請求する権利があるではないか。
 浮気相手にも請求しなさい。




 住民訴訟でもこの求償権を争うことがほとんどです。

 「市に対して損害を与えた市長に対し、市は賠償請求すべきである。」

 「市はその求償権があるのだから、これを請求しないで放置しておくことは違法である。」

 このようにして市を訴えることになります。

 住民が市長を直接訴えることはできません。



 これが四号請求です。

今回の離婚慰謝料裁判とは


 本日の判決は前から注目されていたようです。もとの記事がありました。


不倫相手に請求できる? 離婚慰謝料訴訟 19日に最高裁判決

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190218-00000001-mai-soci


 注目されていた点は

 「夫は不倫相手に対して慰謝料を請求できるか?」というものです。

 少しわかりにくいかも知れません。



 応えは「できる」です。


 ただし、本日の最高裁判決で出たように、「直接請求はできない」ということです。


 不倫していたのはこの記事ですと妻です。

 夫は妻に慰謝料を請求し、妻に対して「不倫相手に対しても請求しろ」という訴えを起こさねばならないということなのです。


 妻を飛び越して「直接請求する」というのはできないということです。



離婚事件と四号請求


 最新のニュースです。誤解がありそうなので注意してください。


 配偶者の不倫が原因で離婚した場合、不倫相手に離婚に対する慰謝料を請求できるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(宮崎裕子裁判長)は19日、「特段の事情がない限り、請求できない」との初判断を示し、原告側の請求を棄却した。 
[時事通信社]




 上の記事は誤解されそうですが、不倫相手が訴えられないという意味ではありません。

 「四号請求」というのがあって、こんな風によく不倫で出てくる訴訟の形です。



 妻が夫に浮気をされて、離婚や慰謝料で争っています。

 夫は妻に慰謝料を支払うことで和解します。

 しかし妻は浮気相手の支払いがないことに納得できません。

 

 それで妻は夫に対して「浮気相手にも慰謝料を負担するよう請求しなさい」と訴えます。

 これが四号請求です。

 上の最高裁のように、直接に妻が浮気相手に対して慰謝料を訴えることは出来ません。

 当事者は妻と夫、そして夫と浮気相手です。


 で、妻は夫に対して訴訟を起こします。

 「夫は浮気相手に対して浮気の代償の一部を支払うよう請求せよ」という訴訟です。


 四号請求訴訟は成立します。

 妻から直接に訴えることはできないということです。

 これを「三角訴訟」と言ったりもするようです。

 

PAGE TOP